江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。
確定申告を意識する時期ですので、
今日は個人事業の申告の仕方をざっくりと解説したいと思います。
といっても、休日ですので趣味全開です。
今日は『エフェクタービルダーのための確定申告入門』をお送りします!
普段はサラリーマンで、副業でエフェクター作っている方も、
脱サラして、個人事業としてエフェクタービルダーやっている方も
これさえ読めば確定申告が分かります!
そもそも確定申告って何なの?
・何となく、言葉だけは聞いたことがあるけど、よく分からない。
・私は確定申告をしなきゃいけないの?
といった方向けに、簡単にお話ししますと、
『確定申告』とは、1月1日~12月31日までの間に獲得した『所得』を計算し、
その所得応じた所得税を納税する事をいいます。
よく『所得』=『収入』と勘違いしている方がいますが、『所得』=『利益』ですので、
要は、今年これだけ儲けたのでそれに応じた税金をお支払いしますという計算をすることですね。
当然ですが、儲かっていない場合は税金を払うことはありません。
ちなみに、所得には10種類あるって知ってました?
① 利子所得
② 配当所得
③ 事業所得
④ 不動産所得
⑤ 給与所得
⑥ 退職所得
⑦ 譲渡所得
⑧ 山林所得
⑨ 一時所得
⑩ 雑所得
の10種類です。
多くの方が確定申告に馴染みがないのは、
お勤めの方は⑤ 給与所得のみが生じる事が多いため、
『年末調整』という手続きで完結してしまい、
確定申告をしなくても良いからです。
年末調整については後日ブログにしますが、
⑤ 給与所得のみの方を対象とした制度ですので、
他の所得が生じている場合などは確定申告が必要となります。
普段サラリーマンで、副業でエフェクターを作っている方は、
⑩ 雑所得が生じますし、
脱サラしてエフェクタービルダーのみの方は
③ 事業所得が生じますので、確定申告が必要ということになります。
副業と脱サラの違い
副業の場合は⑩ 雑所得、脱サラの場合は③ 事業所得といいましたが、
この違いは何でしょうか?
勤め先がある!
・・・当たらずとも遠からずです。
正解は『開業届を税務署に提出しているかどうか』です。
開業届とは『私はエフェクタービルダーとして稼いでいます』と
税務署に報告する書類です。
ですので、正確に言うと、
サラリーマンでも『開業届』を税務署に提出していれば、
③ 事業所得となります。
何が違うかというと、色々あるのですが、
一番大きいのが、『損益通算』ができる・できないでしょう。
③ 事業所得の場合、もしエフェクタービルダー事業が儲からず、
損を出してしまったときは、他の所得があれば、
その所得と相殺することができます。
一昔前に、とある税理士が脱税指南で捕まりましたが、
それは、この損益通算を悪用したスキームで、
サラリーマンが事業をやっていないのに、架空の開業届を提出することで、
使った経費(といっても架空経費)がそのまま損失になり、
それを給与所得と相殺するといったモノでした。
皆さんはエフェクタービルダー業を実際にやっているので、
大丈夫です!安心してください。
とはいえ、損が出ているような場合は
趣味の範囲で止めといた方が良いと思いますが。
確定申告のやり方
副業と脱サラの違いを見てきましたが、
実際の計算のやり方、考え方はどちらも同じです。
しっかりと『帳簿』をつけましょう。
『帳簿』をつけて、売上と経費がしっかりと分かれば、後は書類に書くだけです。
税務署に行けばやさしく書き方を教えて貰えますので、ビビらず税務署へ行きましょうw
売上の管理は必須!
・ 代理店がついて、そこに卸している
・ ネット販売をしている
・ 楽器店に委託販売している
・ 友人に個人的に販売した
など、様々な販売経路があるわけですが、
売上の管理は一番重要です。
この売上ですが、カウントするタイミングは『売れたとき』です。
『お金が入ったとき』でカウントした方が楽なのですが、
入金までタイムラグがある場合があるので、注意が必要です。
例えば、代理店に卸している場合、
『代金は今月分をまとめて来月末に支払う』
といった、後払いの契約になっているケースがほとんどです。
入金ベースでカウントしてしまうと、『昨年12月~今年の11月分の売上』を
今年の売上として申告することになってしまいます。
これではおかしいですね。
ちゃんと『売れたとき』でカウントするようにしましょう。
では、この『売れたとき』とはいつなのでしょうか?
・注文を受けたとき
・納品したとき
・検品を受けてOKが出たとき
の3パターンが考えられます。
どれでも大丈夫です。自分の中で一番しっくりくるモノを選びましょう。
ただし、一度決めたら変更できないと思っておいてください。
仕入れは在庫の数が肝!
売上同様、仕入れの管理も重要です。
ケース代、配線材、パーツ代、半田代などが仕入れに該当します。
しかし、実際にこれらが経費になるのは『売れた分』だけなので注意です!
エフェクターが完成したときに、
全部のパーツを使い切っていれば良いのですが、
配線とか半田とか、余ってますよね?
これは経費になりません。
例えば、BELDENの8503を10m3,000円で買ってきたとして、
年末時点で2m残っていた場合は、
3,000円×8m/10m=2,400円だけが経費となります。
ちなみに、残りの600円は、
次の年に使えば、次の年の経費になります。
ということで、配線だけでなく、ケースも、パーツも、半田も
すべての在庫を数えないと、正確な金額は出せないのです!
普段からの整理整頓が物を言うのは間違いないでしょう。
その他の経費は何がある?
・ パーツを買いに秋葉原まで行ったときの交通費
・ 他のビルダーさんと情報交換のために行った飲み会
・ 回路研究のための書籍
・ 半田ごて、バイス、クランプ等
・ 試作機の作成にかかったパーツ代等
などなど、エフェクターを作るためにかかったモノはすべて経費になります。
「このBJFEは研究用に買ったんだ!」と言って、経費にしても良いと思います。
本当に研究していれば問題ありませんから。
まとめ
・ 売上は『売れたとき』カウントする。
・ 『売れたとき』も自分で決める。決めたら変えない。
・ 仕入れは在庫の金額が肝。在庫は経費ではない!
・ その他エフェクター作りにかかったモノは経費でOK
・ あとはビビらず税務署へGO!
編集後記
ということで、今日は『エフェクタービルダーのための確定申告入門』でした。
もしかすると、税務署へ行くのが一番ハードルが高いかもしれませんが、
脱税さえしていなければ、『納税しに来てくれた人』ですから、
丁重に扱ってくれますので、大丈夫です。
確定申告面倒くさいよ!というビルダーさんがいらっしゃいましたら、
是非お手伝いさせてください。
報酬のエフェクター払いも受け付けております!(いや、マジで)