最低賃金が上がると労働時間が減る?

日想
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2019年11月11日(月)

こんにちは!江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

今日は飲食店フランチャイズオーナーをやっている友人から、
ウチのパートはあと何時間くらい余裕があるか?
という問い合わせがきました。

年末調整が気になる時期になると、この手の話も増えてきますね。
何かというと、俗に言う『103万円の壁』というやつです。

今日はその辺も解説しながら、まとめてみたいと思います。

そもそも『103万円の壁』って何?

皆さんも1度は聞いたことがあると思います。
しかし、その内容を正確に理解していますか?

バイト代は給与所得です。
給与所得は、その額面金額に対して税金がかかるのではなく、
給与所得控除後の金額に対して税金がかかります。

その給与所得控除は下記のとおりですが、
最低でも65万円あるのです。

また、それとは別に『基礎控除』というものが38万円ありますので、
控除を合計すると65万円+38万円=103万円となります。

つまり、額面103万円までは控除で所得が0円になりますので、
税金がかからないのです。

逆を言えば、額面103万円を超えた場合は、
所得があるということですので税金がかかってきます。

さらに、所得があると『配偶者控除』や『扶養控除』の対象となれません。
『扶養から外れる』とか聞いたことないでしょうか?
『配偶者控除』も『扶養控除』も38万円ですが、
扶養してる側の所得から控除されています。

扶養から外れてしまうと何が起こるのかというと、
扶養している側の所得がその分増えますので、
結果として税金が上がります。

扶養している側の税率が33%だった場合は、
38万円×33%=125,400円も増税となる計算です。

他にも諸々あるので、世帯での手取りを増やそうとすると、
130万円くらい稼いでやっとという状態です。

それだったら103万円で止めておこうとなりますよねw

冒頭のパートさんの話もそうです。
103万円を超えないように調整したいので、
あとどれくらい余裕がありますか?という話になるんですね。

最低賃金が上がると労働時間が減る?

このパートさんは主力級の方で、
結構シフトを埋めてくれる 非常にありがたい存在です。

そんな方が『103万円の壁』で年末はシフトに入れないという、
笑えない事態が日本全国で起こっています。

年末は他のパートさんにしわ寄せがいくという結果にw

しかも、最近最低賃金が上がっているじゃないですか。

これも拍車をかけています。

最低賃金推移(東京)はこんな感じです。
平成14年 708円
平成15年 708円
平成16年 710円
平成17年 714円
平成18年 719円
平成19年 739円
平成20年 766円
平成21年 791円
平成22年 821円
平成23年 837円
平成24年 850円
平成25年 869円
平成26年 888円
平成27年 907円
平成28年 932円
平成29年 958円
平成30年 985円
令和 1年 1013円

オーナーの友人はちゃんとしているヤツですので、
最低賃金を上回る賃金にしています。

件のパートさんは今1,150円です。
5年くらいお務めなので、最初は900円代だったと記憶しています。
最低賃金の改定後に採用する新人との兼ね合いもあり、
改定があるたびに賃金を見直しています。

ということは、年々働ける時間が短くなるということですね。
900円の時は103万円÷900円=1,144時間働けたのが、
今現在は103万円÷1,150円=895時間しかシフトに入れません。

約250時間の差があります。
月平均でも20時間以上シフトが埋まらなくなっている状態です。

これオーナーにとってはかなりキツイですよ。

最低賃金を上げる理由として、
『最低賃金で働いても生活できない』ということが挙げられています。

週40時間働いたとして、1,013円×40時間×52週=約210万円となります。
『年210万円では到底生活できないので、1,500円を目指す』ということのようです。
1,500円だと、約300万円になりますので。

もうね、アホかと。
結局103万円の壁がある以上、
働きたくても働けない主婦層が大量にいるわけで、
このまま最低賃金だけ上げても、より労働時間が短くなるだけですよ。

私の思う解決策

現行制度は『所得がない配偶者』がいれば
『自分の所得』から38万円控除されるという仕組みなので、
103万円の壁が存在してしまいます。

要は103万円の壁を取っ払えば良いので、
『配偶者控除』を年収制限なしにして
配偶者がいる人全員に19万円ずつにすれば良いと思います。

103万円関係なくなれば、最低賃金も上がったし、
もっと働きたい層が動き出すと思うんですよね。

年末になってあと何時間・・・とか本末転倒もいいとこですよw

編集後記

ということで『最低賃金が上がると労働時間が減る?』でした。

件のパートさんがいない間を埋めるために
オーナー自身がシフトに入っているそうで、
今月休みが2日しかないと嘆いていました。

飲食店は採用も厳しいですからね。

人件費とともに採用費もかさむというダブルパンチです。

中小企業はどこもこんな感じですよ。
最低賃金上げる前にやることあるんじゃないですかね?